「土芭樂」という果物をご存じだろうか。
「芭樂」というのは中国語で「グアバ」のこと。
「土芭樂」というのは、原種に近い昔からあるグアバを指す。外来植物で、台湾には大航海時代にスペイン人がもちこんだといわれている。
現在、台湾のスーパーで見かけるグアバは品種改良されたもので、リンゴくらいの大きさで、表皮は緑色、少しゴツゴツとした凹凸があり、触った感じもゴツゴツしていて、かじると梨のようにシャリっとした食感で、味は淡白で、特に特徴がない、という感じのものが多い。
熟すともう少し柔らかくなるが、シャリっとした食感であることは間違いない。種の周りは柔らかくなって、シャリシャリしたよりも甘くなる。
品種によって多少差はあるが、だいたい上記の感じで間違いない。
だが、「土芭樂」はちょっとちがう。
まず、見た目がやや違う。
大きさは、大きいものもあるが、基本的には普通のグアバよりやや小ぶり。
皮は黄色で、皮のゴツゴツ感がほとんどなく、表面が滑らかだ。
そして、特筆すべきは香りの濃厚さだ。
たとえるのが難しいが、華やかでトロピカルな、甘い甘い香り、しいて言うなら熟れたイチゴとモモと合わせたというか、そんな感じの香りがする。一回嗅いだことがあったら絶対わかるんだけど、説明が難しい。
熟れ熟れの土芭樂が市場にあると、何メートルも先まで濃厚で甘い香りが漂ってきて、「あ、今日はあのグアバが近くにあるな」とわかるほど濃厚な香りがするのだ。
またすごいのが、味が普通のグアバと別物の美味しさなこと!!
これも表現が難しいが、イチゴとかバナナとか、モモとか、濃厚な甘さのフルーツを合わせたような、こっくりとした、まさに濃厚な甘さなのだ。
もともとは、香りは強いが渋みがあったそうだが、現在の土芭樂はとにかくすごく甘い。
そして口当たり。柔らかさが違う。一般のグアバはシャクシャクした梨か、それより固いくらいの食感だが、土芭樂は種の周りだけでなく、果実本体と皮も柔らかく、指で押したらその指が沈むほど。口に入れても、上あごで押すだけでつぶれるくらい柔らかいのだ。
もう、全体がクリームっぽい、といっていんではないだろうか。
下の写真で、きめ細かく、なめらかな果実の感じが分かっていただけるだろうか。
フォークがずぶずぶ沈む柔らかさ。
皮もとても柔らかいので、皮はむかずにそのまま種ごといただく。
種の周りが特に香りと甘みが濃厚なので、取り除くとかはあり得ない!
種はガリっと噛まないように、果実をしたと上あごでつぶして食べながら一緒に飲み込むといいと思う。
すっごい美味しい「土芭樂」、ぜひ家族や友人にも食べてほしいと思うのだが、栽培している農家が少ないらしく、スーパーとかではまず見かけない。
だいたい8月か9月ごろ、ごくたまに朝市に農家の人が売りに来てるのを見かけるくらい。もしかしたら台北でも常設で売ってるところがあるかもしれないが、私の生活のなかでは朝市でしか買えたことがない。
価格はスーパーのグアバが1斤(600g)60元とかで売ってるのに対して、土芭樂は600g100元とかのことが多い。
また、市場では熟れ熟れのものが持ってこられていることが多く、たくさん買ってもあまり長く置いておくと傷んでしまうので、5~6個くらいしか買わないけど、買えると嬉しい。
そして持ち帰ると、冷蔵庫の中が土芭樂の香りでいっぱいになる。
本当に美味しくて、大好きだ。
白い果肉のものと赤い果肉のものがあって、どちらも美味しい。
宜蘭や高雄が産地として有名らしい。うちの近所の朝市に来てるのは距離的に宜蘭の農家さんかしら。
今年の夏はこれまでに2回、土芭樂が買えたけど、あと1回くらいチャンスはあるのかな?
いつか、8月の収穫期に産地の農園に行ってみたいな~~。
観光で台湾に来た皆さんも、夏はぜひ朝市を歩いてみて、もし土芭樂に出逢ったら、ぜひぜひ買って、食べてみてくださいね!
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