かき氷屋から後の、足取りを振り返ってみよう。
まず、孔子廟から南門路をはさんだ差し向かいには、元台南警察局が優美なたたずまいを見せている。アールデコ様式を取り入れた建築デザインで、日本時代に建てられたもの。中には入れないが、外から見るだけでも、その美しさが十分に堪能できる。
同じ道を北上すると、右手に国立台湾文学館が見えてくるが、とりあえず、前を素通りして、隣の中正路にある消防署に向かう。こちらは、もとは1930年代に建てられた合同庁舎だったそうだ。正面の棟の足元に描かれた119がいい味を出している。
消防署の何軒か先が、タンツー麺の度小月だ。その先をさらに進むと、旧日本勧業銀行台南支店跡で、現在は土地銀行という銀行になっている建物に突き当たる。
優美なギリシャ神殿風の柱が並ぶ通路は、とても趣がある。装飾も趣向が凝らされている。
天井がとても高くて人間が手を出せないからか、目を凝らすと天井にはびっしりと鳥の巣が。そして、足元には落し物が。鑑賞時には、頭上注意かもしれない。
当時はまだ、今注目されている林百貨は改装中だったので、中を見ることはできなかった。ここから、またもとの路を戻って、国立台湾文学館の見学に向かった。
東京駅のような赤レンガが美しい文学館は、もとは大正時代に建てられた台南州庁。元の建物の多くの部分が、戦時中の爆撃を受けて破損したが、戦後幾度かの修復を経て、今の姿になったという。日本時代の建築物として、とても重要な傑作のひとつに数えられている。
建物一階では、保存された古い建築の基礎部分を見ることができる場所も設けられていた。
現在は台湾の文学の歴史の展示や、シーズンごとの展覧会などが行われている。じっくり見ると結構時間がかかる豊富な内容の展示が並ぶ。
驚いたのは、すべて無料で展示を見ることができるということ。腰をおろして休める椅子や、清潔なお手洗い、お洒落なカフェまでそろっていて、旅の途中の休憩によるのにも最適。私もここで、少し休憩を取らせてもらった。
帰りの電車まで、もう一軒くらいカフェに行けそうな時間が有ったので、文学館を後にして、駅方面へ歩き出した。途中、前回通りかかった時に売り切れていて購入できなかった肉まんの店の前を通りかかったが、残念なことに、今回もすでに終了していて、買うことができなかった。
そのまま素通りして、駅方面へもどり、次の目的地であるカフェバー老房子へ向かう。
⑩へつづく~
これまでの散策ルート。
地図 ↓ ↓
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