秋の新埔&関西大冒険~人情の旅~⑥関西でお茶の歴史を訪ねる。(2012年10月)

新埔で腹ごしらえをしてから、また新竹客運に乗り、朝来た道を戻る。途中、同じ新竹県にある関西というところで下車。ここが、本日の三つめの目的地だ。乗換の要所らしく、割りあい大きめのバス乗り場だ。

関西という処は、日本統治時代お茶の生産で栄えた土地で、この地の製茶会社によって半製品化されたお茶の葉は、台北の大稻埕(現在の迪化街あたり)の製茶会社の工場に運ばれて、当時洋行と呼ばれていた現地の貿易会社や日本の企業によって、其の他の台湾産のお茶と共に、世界のあちこちへと輸出されて行っていたという。

今では、往時の勢いはなくなってしまっているが、当時から現地で製茶業を営む会社がいくつか営業を続けながら、現地の製茶の歴史を学ぶことができる資料館や博物館などを運営している。

お茶好きとしては、そういった歴史にも興味があったし、いまだに紅茶の生産では名前を聞くので、今日はここで、お茶にまつわる場所と現地の歴史に触れたいと思っていた。


まず最初に、バス停から一番近い、台湾紅茶という会社の「台紅茶業文化館」を目指す。

日本統治時代の1937年創立の歴史ある紅茶会社だ。資料館は2004年に公開が始まったそう。

ところが、残念なことに、私が行った日は、店舗は営業中だったが、資料館はお休みだった。店舗をちらっと拝見させていただいたが、今日は懐具合も寂しく、試飲が出来そうな感じでもなかったため、ここはまたの機会にということで、次の目的地に向かった。

お次の目的地は、錦泰製茶工廠。1936年創立で、日本向けに紅茶や緑茶を輸出していた会社だそうだ。実はこちらの方が、散歩の本で紹介されていて、建物が超私好みで行ってみたかったところ。近代の歴史的建築物って、独特の味わいがあるから大好きなのだ。

ただ、関西の地図はgoogle先生のご教授を仰いでいなかったため散歩の本に記載の地図に頼って歩き出したのだが、なんだか縮尺が違うのか、デザインぽくなってる地図がなんか違うのか、はたまた私の脳みそが足りないのか、たどり着くまでに、かなり道が解らなくなってドキドキしながら進むことになった。

恐らく、縮尺がどれくらいなのか解らず、地図の途中の路が端折られたりしていたので、距離が解らなかったので、どれくらい歩いたら着くのか解らなかったからだと思う。やっぱり、事前にgoogle先生にお伺いするのが一番安全なようだ。(先生もお間違えになられる場合もあるのだが)

たどり着いた「錦泰製茶工廠」は、電気もついておらず、なんだか営業していないような感じ。ココもダメなのか…と残念に思いながら、店舗の前でうろうろしていると、幸いなことに、中からスタッフのお姉さまが声をかけてくれ、中に入ることができた。

営業中だったのか、開店前だったのか、休憩中だったのか、謎だったが、中に入ることができ、本で紹介されていた建物の中を見ることができた。

製茶工場だった建物の後方は、中に入ることができないようになっていたが、聞いてみると資料館で見学できるという。うれしい! 

中は、隅から隅まで、すべてが私にとっての萌えポイントだらけだった。

まず、建物自体が素晴らしい。高い天井の工場は、使われなくなって結構立つのか、壁際に草が生えていたり、窓ガラスがないところなどもあったが、それでも当時の繁栄を想像することができる立派なつくりだ。

実際に製茶の際に使用されていた工場のラインがそのまま残されて展示されているのも非常に興味深かった。

当時の輸出用の木箱などに輸出先や日付などを記入するために使われていたプレート。

東京行きと鹿児島行き。

こんな風になったのかな。

往時の茶缶など。

お茶の葉を入れていた籠だろうか。

懐かしいレトロな秤。

どなたのご趣味か、資料展示コーナーにはアンティークなバイオリンなども。

見学をしているうちに、もう一組のご夫婦のお客さんが入ってきて、資料館の見学の後は、一緒に美味しいお茶の試飲を楽しんだ。ただし、やはり懐が寂しかったので、一番安い、喉に良いというミカンの皮で作ったお茶のようなものを一つ購入して、店を後にした。

それにしても、お店のお姉さまが私に気が付いて話しかけてくれなかったら、私はきっと諦めて帰ってしまっていたと思う。本当に、良い方に巡り合えて、お陰でたっぷり旧建築萌えに浸らせていただいて、感謝感謝。

ここから、河沿いをぶらつきながら、次の目的地を目指す。



⑦へ続く~



台灣紅茶股份有限公司‧台紅茶葉文化館

住所:新竹縣關西鎮中山路73號

電話:03-5872018

営業時間:09:00~17:00


錦泰茶業股份有限公司-錦泰製茶工廠

住所:新竹縣關西鎮南雄里中豐路一段336號

電話:電話:03-5872051

営業時間:10:00~18:00

※2016年現在は名称が『錦泰觀光茶廠』に変わっており、外観や展示も変化している




台湾いとしこいし

台湾が好き。 やって来た来た、いとしくて、こいしい、台湾。 勉強して、食べて、遊んで、旅して。勢いだけで、突っ走る元OL留学生、今日も台湾をゆく。 2017年台湾の大学の修士課程卒業、台湾で社会復帰。 instagram@taiwanitoshikoishi