大稻埕の「臺灣新文化運動紀念館」は日本統治時代の1933年に落成した台北北警察署の庁舎だった建物。
2012年まで現役の警察署だったこともあり、逮捕した容疑者を収容する拘留室(現在の日本でいうと警察署の中の留置場)も残っている。
これが、この建物の最重要といってもよい見どころだ。
拘留室は1階ロビーから右手の廊下を進んだ一番奥の左手に位置している。
出入口はここだけで、部屋の中央に個室が固まって並んでいて、その周囲を通路が囲んでいる作りだ。
中に足を踏み入れると、心なしか胸がギュッとする陰鬱さを感じるが、綺麗に修復工事が行われているため、景美人權文化園區を見学した時のような生々しい恐ろしさは感じられない。
入口から進む通路の中央に半円形の監視台があり、放射状に並ぶ個室を監視できるようになっていた。
牢屋の個室は合計7つ。各部屋の形は長方形ではなく、監視台を中心に細長い逆台形になっており、この造りから、ここは「扇形拘留室」とも呼ばれている。
監視台の牢屋側は洗面台になっていた。
そして各部屋のトイレは衝立などなく、外から丸見えでプライバシーはない。
一部屋だけ中に入れるようになっていてトイレの様子を見たけれど。
トイレが水洗なのはいいとしても、水を流すレバーも外っていうのはなぜだろう。
一応手だけ出せる小窓があるから自分で流せはするのだろうけど。室内に水道はないってことは、手は洗えないんだろうか。
見学用に開放されている牢屋の中はこんな感じで、展示室になっていた。
一応壁で仕切られてるからとなりにいる人の姿は見えないけれど、通路側は格子なので監視の人からはすべての挙動が丸見えだ。
入口は大人の胸下くらいの高さでかがんで中に入る感じ。
中に入れない他の牢の入口ともう一本の通路。
この牢は紫のライトでライティングされていた。
こちらはまた違う牢。
ライティングで格子が木の床に影を落として妙に綺麗で、それが逆に何かもの悲しさを感じさせる。
中央の監視台の後方の床に、地下に下りていく階段があった。
台湾でここにしか残ってないという「水牢」だ。
入室は禁止になっているが、使用法を解説するイラストパネルが置いてあった。
これによると、水牢は1933年の警察署完成時からすでに存在していた。
天井までの高さはわずか120㎝。
中に入れられた人はしゃがまなくてはならない。しゃがんだ状態であごギリギリくらいまで水を入れられ、こうなるともう座ったり、壁に寄り掛かることもできず、もしも意識を失えば、そのまま溺れてしまう。
要は拷問のための牢屋だ。
殴ったりとかの体に直接の暴力ではないけど、これだって十分に残酷だ。
拘留室の外の廊下に写真パネルがあったが、白黒写真のため余計怖かった。
中が本当に狭いし、天井が予想以上に低く見える。
天井に文字が残っていて、まさか収容された人が書き残したのかと思ってビビったのだけど、解説をよく読んだら、これはこの水牢を造った施工業者の書いたものだそうで、ちょっと安心した。
拘留室は台湾唯一の扇形拘留室であると同時に、台湾で唯一水牢が現存する、歴史的にも台湾の建築的にも非常に重要な場所だ。
建物全体の美しさもみる価値があるが、この場所は歴史的な意味で、必ず見学したい部分だ。
皆さんにも、ぜひおすすめしたい。
見学を終えて外に出てくると、16時半過ぎ。
こうしてがぁこさんの平日台北散歩は終了したのだった。
大充実の1日。大いにリフレッシュしましたよ。おつかれさま!
臺灣新文化運動紀念館(旧台北北警察署)
住所:台北市大同區寧夏路87號
時間:09:30~17:30、月曜休館
料金:無料
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