2022年の9月のこと。とある平日が休みになり、思いついて台北市政府庁舎併設の資料館「台北探索館」の見学に出かけたがぁこさん。
おりしも金曜日だったのを思い出し、午後は金曜限定で一般個人参観が可能な「監察院(旧台北州庁舎)」にも足を運んだ。
厳粛かつ華麗な建築に萌えまくり、見学を終えて出てきたところで14時40分ちょいすぎ。
せっかくの休み、このまま帰るのは惜しくなってきた。時間的にももう一軒くらい、どこか見学に行けそうである。
頭の中で、「まだ行けてない素敵建築リスト」を検索し、大稻埕の「臺灣新文化運動紀念館(旧台北北警察署)」に行くことにした。
MRT善導寺駅からだと、台北駅で紅線に乗り換え、民権西路でまた橙線に乗り換えて大橋頭駅下車、底から歩いて行っても15時過ぎには到着できそうなので、閉館までゆっくり見学できるだろう。
臺灣新文化運動紀念館に到着したのは15時半前。狙った通りである。
旧台北北警察署の建物の外壁には、日本統治時代の官公庁の建物によくみられるベージュっぽい防災色のタイルが壁に貼られており、台南市美術館1館になっている「旧台南州警察署」とテイストがとてもよく似ている。
台北北警察署は建築家のお名前は調べられなかったが1933年落成。
対して台南州警察署は1930年に台南州に配属された梅澤捨次郎が設計監督を務め、1931年落成。
ほぼ同時代の建物で、同じ警察署ということでテイストが似たのかな。面白い。
台北北警察署の建物は、戦後も2012年までは台北市政府警察局大同分局の庁舎として使用されており、その後すぐに博物館として修復工事が行われたため、建物の保存状態が非常に良い。
1階のロビーに入ると、左手がカフェになっていた。
レトロで格調高い空間がとても素敵。カフェだけの利用もできるみたい。
カフェのわきに博物館のグッズコーナーもあった。ここで買うのかな?
1階ロビーでもう一つ目立つのは、こちらの「臺灣民報」前で撮影された古い写真。
「臺灣民報」というのは、日本統治時代の台湾で台湾人の知識層が発行していた新聞で、台湾人による台湾人への啓蒙運動「新文化運動」の中心的な部分でもあった。
この建物の現在の名称「臺灣新文化運動紀念館」から分かる通り、本館の展示内容は「新文化運動」に関するものが中心である。
展示室ではパネル展示やインタラクティブな遊戯を通して「新文化運動」とはどんなものだったのか、歴史的背景、参加した著名人についてなどが学べるようになっていた。
わたくしの第一の目的は建築鑑賞であるので、展示物の内容についての詳細は割愛させていただいて。
1階ロビーから建築美的に次にドキドキしたのが入り口を背に右手の展示室前の廊下部分である。
廊下に黒い金属のトンネルがはめてあって、灯りが反射してとても神秘的な雰囲気なのだ。
なんかこう、過去に吸い込まれていくタイムトンネル的な。
ほかの廊下部分はいたって普通だったので、ほんの少し工夫をするだけで、古い建物がアートな空間になるのだと感心した。
建物の修復工事について紹介する部屋では、修復に際して使われた工法や、建物の部品や遺物などが展示されていた。
展示室自体のレイアウトも素敵だった。
修復ドキュメントの動画などを見ながら、椅子に座って休憩できるのもよし。
1階ロビー奥は吹き抜けの階段ホールがあり、こちらの階段も趣があった。
柱の円柱とかすごい凝ってる。昔の官公庁の建物には、今の無機質なビルにはない「無駄」で美麗な装飾が多くて素敵だ。
ここまでは、先ほどの監察院などとも共通の日本統治時代の官公庁らしい建物で、特に目新しいところはないと思われるかもしれないが、この建物の最大の見どころは、1階の奥にある。
そこについては次回ご紹介しよう。
臺灣新文化運動紀念館(旧台北北警察署)
住所:台北市大同區寧夏路87號
時間:09:30~17:30、月曜休館
料金:無料
0コメント