お寺のお祭りの奉納歌劇「歌仔戲(台湾オペラ)」に大興奮!(後編)

先日、夜のウォーキング中に八徳市場近くのガード下でお寺のお祭りの奉納歌劇「歌仔戲(台湾オペラ)」に遭遇したがぁこさん。

キラキラド派手な衣装と、親しみやすい歌と演技、次々登場する濃いキャラたちに惹きつけられ、客席の一番後ろで立ち見していたら、気がつけばもう1時間もたっていた。

いつのまに!

しっかしもう、台湾語のセリフ何言ってるのか1ミリも分からないのに、舞台の熱気と勢いが私を惹きつけて離さないのよ!!

最初の1時間くらいは、なんとなくだけど、各登場人物の初お目見えとキャラ設定紹介の自己紹介的なセリフ説明と歌のショーが続いて(ここで足止めされて帰れなくなった私)、だんだん話が広がっていく感じっぽかった。

全く話は分からないけど、役者の皆さんの動きと表情で勝手に想像していると、なんとなく、「だいたい、こうなんじゃないかな?」という流れが見えてきて、また面白い。

たとえば、公演の中盤ごろの、ヒロインとヒーローがどこかで出会って親しくなる場面。(もしかしたら再会したのかな?)

ヒーローが大きめの黒い扇を頭の上に掲げて袖とかも気にしてる様子だったので、どうやら雨が降っているらしい。雨の中の逢引か。ロマンチックねえ。

しばらくすると、ヒロインかヒーローか、どちらかの家の中の場面になって、ヒロインのお母さん(または乳母または侍女?)の中年女性に二人で挨拶らしきことをしている。

その後は、和気あいあいと2人で語らったり、赤い天蓋の中に入っていく様子を見せたり(まさかベッドイン!?)、親密な場面が続く。

その後、悪霊だか悪役だかの怪しい女性キャラが現れて、ヒロインと諍いが起きる。

いったん二人がその場を去った後、入れ替わりに現れたヒーロー、体調悪そうで酔っぱらったみたいになる。

戻ってきたヒロイン、なんだか怒ってヒーローを責めてる様子。お母さん(か乳母か侍女?)がとりなすも、許さない様子で、ヒーロー追い出されちゃったみたいな感じ。

この場面は、さっきの颯爽としたヒーローと打って変わって泣きそうな情けない顔になってて可哀想だった。

その後、ヒーローが1人で杖にすがりながら、よろよろとさ迷っていると、神様みたいな人が現れて、ヒーローに何か言うか触るかした結果、とたんにヒーロー、憑き物がとれたみたいに元気回復。

ヒーローを復活させた後、神様がいったん退場して、いれかわりに仙女様(女神様?)が現れ歌謡ショー。

神様だか仙女様だか、それとも別のキャラ?その辺は不明だけど、この二人は正義の味方であることには間違いない様子。帰ってきた神様と仙女様、何やら相談中。

その後、ヒロインのところに仙女様(女神様?)が現れ何かお話しされる。するとヒロイン、どうやら元気を取り戻し退場。

すると、仙女様の前に白い衣装になった悪霊(悪女?)が現れる。仙女様、これを成敗せんとするも、悪霊もなかなか強い。そのうち、神様系の正義の味方の皆さんが総出で悪霊成敗にかかるも、1回戦は悪霊の優勢。

この悪霊の方が、なかなかの芸達者で、槍をくるくる振り回したり、飛んだり跳ねたり転がったりと、アクロバットな動きをされてて素晴らしかった。観客席からも技が決まるたびに拍手喝采。恐らく役者さんは結構高齢の方だと思うけど、身のこなしが軽くてびっくり。

もちろん、国家歌劇場とかで見る京劇役者の動きに比べたら洗練度は及ばないけど、きちんと訓練してらっしゃるのは良く分かる動きだった。

2回戦は、正義の味方またしても総動員の結果、正義の味方チームの勝利。

悪霊は去り、ヒロインとヒーローも関係回復して、みなさん笑顔で大団円。

大団円だよ。

見終わっちゃったよ!!

うわお。見始めてから2時間半近く、本当に最後まで見ちゃったよ!!

本当はどんな話だったのか分からないけど、勝手に解釈してるだけでも、すっごく面白かった!

なんかもう、見終わって気分がワクワクして、すっごく元気になっちゃった。

こんなの無料で見せていただいて、神様、歌劇団の皆さん、どうもありがとう!!


公演が終わると、観客の皆さんが率先して客席の後片付けを開始したのも興味深かった。

そうそう、最初の1時間ちょっと、20時過ぎまでは、私は客席の一番後ろで立ち見してたのだけど、20時過ぎから続々と新しい観客が増えてきて、観客の皆さんが、どこからかプラスチックの簡易椅子を持ってこられて、席も増えていったのよ。

最終的には椅子を持ってきたお爺さんに勧められて私も着席したんだけど、これらの椅子を、公演が終了した瞬間に、観客の皆さんがなんとなく一か所に椅子を積み上げて片付けてたの。

どういう仕組みかわからないけど、野外公演を鑑賞する際のルールみたいなのが台湾の皆さんの中には暗黙の了解としてあるのかな。この辺もなんだか文化を感じて興味深かった。


ともあれ。

普通の日の夜に、思いがけないところで、思いがけずこんな楽しい時間が過ごせるなんて、なんてラッキーだったんだろう。

見終わって気分も高揚、カラフルな舞台を思い浮かべれば笑みも浮かぶし、なんだかとってもハッピー! 神様と舞台の皆様のご利益よね。

改めて、神様ありがとう!!



【追記】

帰宅後に、Google先生に公演を行っていた「民権歌劇団」についてお伺いしてみたところ、この劇団はなんと50年もの歴史のあるけっこう有名な劇団で、しかも劇団を指導してらっしゃる先生は、台湾の「歌仔戯」の人間国宝なんだとか!

なんということでしょう! そんなすごい劇団の公演が、野外のガード下で無料!?

しかも、公演には昼の部もあったんだって!!

1日2公演!? 無料で!?

すごいわ……。台湾の文化、なんて奥深いんだろうか。


【追記2】

Google先生に今回の公演情報をお伺いしたところ、ファンらしき方の動画投稿により、『八仙收白猿女』という演目であることが分かった。

「8人の仙人が白猿女をこらしめる」的な題名からして、私の勝手な解釈もあながち間違いじゃなかったっぽいよね~!

皆さんぜひ、動画も見てみて! 私の楽しかった気分がわかると思うの!!

特に仙女様とヒーローね!


↓ 人気スターの仙女様のお歌(仙女様は人間国宝の娘さんらしい)

↓ 可憐なヒロインさん


↓ 大喝采を受けて登場するヒーロー

 (この方は劇団のHPにプロフィール写真がないみたいなので、よその劇団のゲストの方なのかも)


台湾いとしこいし

台湾が好き。 やって来た来た、いとしくて、こいしい、台湾。 勉強して、食べて、遊んで、旅して。勢いだけで、突っ走る元OL留学生、今日も台湾をゆく。 2017年台湾の大学の修士課程卒業、台湾で社会復帰。 instagram@taiwanitoshikoishi