今日は、午前中に映画『ミッドナイトスワン』を見に行ってきた。
台湾では12月31日から公開が始まったミッドナイトスワン。中国語表記は『午夜天鵝 Midnight Swan』という。
台北では7軒ほどの映画館で公開している。どこも小さいハコで回数も少ないけど、独立系の外国映画としてはすごく多い方ではないだろうか。
年末年始は極寒で出かける気が起きなかったのだけど、今日は朝からいい天気で絶好のお出かけ日和。
早起きして信義区の映画館に出向いたところ、自販機で切符が買えないアクシデントはあったけど、カウンターでチケット無事ゲット。
結果、なんとミニシアターのど真ん中に私ともう一人の、たった二人の観客で、ほぼ貸し切り状態での映画鑑賞となった。
上映終了後。
起ち上がれなかった。
なんてものを見てしまったんだろうか。涙があふれて止まらない。
とても重たい複雑な背景のある物語の中、あふれる母性と愛。
トランスジェンダーの女性を演じる主演の草彅剛さんの演技が非常に自然で素晴らしい。
いやいや預かった親戚の子供に対する気持ちが物語が動くに従って変わっていく、その変化が瞳に如実に表れていて、胸が締め付けられる。
哀しいだけじゃなくて、脆いだけじゃなくて、大事なもののために足掻く強さもある、優しい女性、凪沙さん。
いままでのいい人とか、ヤクザの役とは全然違う、彼女を体現した草彅さんにとって、この映画は現時点で最高の作品になったのではないかと思う。
ぜひ、スクリーンで草彅さんのアップの表情を見てほしい。完全に凪沙さんだから。
ああでも、ただ立ってる後姿だけでも、全部素晴らしかったんだけど……。
それと、親戚の女の子はとにかくバレエが素晴らしく美しく、彼女の心の変化と成長がこの物語の光。
彼女の親友の子との関係とか、ネタバレになるから言えないけど、映画館で上映中に思わず「あ!」と叫びそうになった場面とかもあって、呆然とした。
田舎の家族、親戚、東京の凪沙さんとお店の同僚の人たち、それぞれの背景にも苦しくなる。リアルな背景が苦しい。
この作品の少なくない部分が哀しかったり、苦しかったり、辛かったりして、決して見やすくて楽しい映画ではない。
けれど、優しさと愛情も溢れていて、全部見終わった後には絶望ではなく、一筋の太陽の光が感じられる、そんな映画だった。
映画館から出てきた時の暖かい空気と太陽の光が、見終わった時の気持ちにすごく寄り添ってくれてる気がした。
本当に、すごい映画だった。ものすごい傑作だった。
まだ見に行ってない方は、ぜひ見に行ってほしいと思う。それかDVD出たらぜひ見てみてほしい。
日本で「追いスワン」現象が起きるのもわかるわ……心の中にぐるぐる回ってるもの。
思わず帰りに寄り道して東区のジュンク堂書店で小説版購入して帰宅した私。
現在、小説で「追いスワン」中……。
日本のコロナが収まった後も、ロングラン上映か再上映が行われていますように!
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