猫空は、台北から一番近くて有名なお茶の産地。
2007年にロープウェイが開通してから、ますます便利になって、どんどんオシャレなカフェや賑やかな屋台エリアが登場したりしているけれど、私が初めて訪れた2000年代頭のころは、日本人をあまり多く見かけることはなく、静かでのんびりとした山間の小さな観光地だった。
その、初めて猫空観光に訪れた際に、初めて行った茶芸館が美加茶園。自身の茶園で自らこだわって栽培した茶葉を製茶販売し、茶芸館では料理も出す、地産地消を地で行くお店だ。当時のご主人は日本統治時代に小学生を終えられたという、日本語がとても美しい方で、美味しい料理をいただいた後に、楽しく日本語でお話しさせていただきながら、たくさんの種類の美味しいお茶を試飲させていただいて、とても楽しい時間を過ごさせていただいた思い出の店。
その後、ご主人がお亡くなりになって、息子さんに代替わりしてからも、友人とお邪魔したりしたことはあったのだが、この7~8年一度もお邪魔する機会がなかった。この7月に日本から来た友人から猫空に行きたいとリクエストがあったとき、ずっとまた行きたいと思っていた美加茶園に、みなさんをお連れすることにした。
夕方最初に、お茶の資料館である、台北市鉄観音包種茶研発推広中心という処で、茶農家の方がサービスしてくださっているお茶の試飲を体験し(そしてうっかりいろいろお茶を購入し)、そのあと、そんなに遠くないし、だいぶ涼しくなったから、食事には散歩がてら歩いていこうということになり、歩き始めたのだが、記憶の中よりかなり遠くて、歩いたことを少しばかり後悔。ただ、最期の方は下り坂だけだったのが救いだった。
(右下楕円がお茶の資料館、左上円が美加茶園。)
お店に到着すると、先ほど通過した賑やかなエリアと打って変わって、周りに観光客がおらず、店も貸し切り状態。一番景色がよく見えると思う席を選び、すでにお腹ペコペコだったこともあり、早速茶葉料理と、友人が好きだという金萱茶を注文し、食事の準備が整うまで、遠く101を眺めながら、まったりとお喋りを楽しんだ。
茶葉料理マストは、茶油麺線。
台湾の麺線という、素麺によく似た麺をゆで上げたところに、お茶の実を絞った油を絡めていただく、簡単な料理なのだが、シンプルな味付けだけで、とても美味い。いうなれば、イタリアンのペペロンチーノ、といった感じだろうか。
そして次におすすめなのが、茶葉入りの卵焼き。
こちらも、とても簡単な料理だが、やっぱり鉄板の安定感で、毎回必ず注文するメニューだ。
次が、茶油で炒め煮した地鶏。
これは正直、もう一軒私が好きな山水客の揚げ地鶏の方が、肉が柔らかく仕上がっているので好きだったが、カリカリコリコリの食感の皮や、肉の部分の味はとても美味しい。
茶葉料理の最後の一品が、お茶の発酵が始まったところで冷凍した冷凍茶とアサリのスープ。お酒がたっぷりと入っていて、運ばれてきたときにラップの蓋を取ると体が温まりそうな香りがした。スープ自体は淡白で、アサリの味でさっぱりいただける。
あとは、茶葉料理ではないが、台湾でよく食べられている水連の炒め物を注文。癖のない青菜というか茎の部分で、シャクシャクした食感が楽しい。友人はすっかり気に入っていた様子。私も大好きだ。
三人なのに、ちょっと頼みすぎた感じだったが、意外にさっくりと完食することができた。昼間はうだるような暑さな山の上も、日が沈んだ後は涼しくなり、美味しい料理と綺麗な風景で大満足の夕食となった。
食事の後には、おかみさんにお茶の試飲をお願いし、全部で三種類のお茶の試飲をさせていただいた。昼間に資料館で試飲したお茶も飲んだりして、すでにたくさんのお茶を購入した後だったのだが、お茶は同じ種類でも農家によっても味わいが異なるので、試せるものなら、いろいろなものを試したいのがお茶好きの気持ちというもの。
思った通り、先ほど購入したお茶と、こちらのお茶とはまた違った感じだった。そして、この食後の試飲で一番素晴らしかったのが、美加茶園で今年の春に生産した鉄観音茶の中で一番上級の、頭等級鉄観音茶。
(下の写真の左側、茶葉の球形が細かく色が少し濃いのが頭等級、右側が弐等級。)
十年くらい前に頭等を試飲して、非常にまろやかな香り高さに驚き、思わず予算を越えても買ってしまったことがあった。今回、おかみさんから「鉄観音の試飲はこの二種類のうち、一種類で」と言われて、私の独断で頭等を選択。だって、記憶の中の頭等が本当に美味しかったので、友人にも、買う買わないはどうとして、ぜひ味わってほしいと思ったから!!
結果。
聞香杯で香りを聞いた瞬間から、一同華やかな香りにくらっ。
口に含むと、花のような香りにまたくらくらっ。
一同の目の色が変わる。
「あの、頭等と弐等のお値段は…とういか、少しだけ買うとかできますか?」
予算はすでに超えそうだが、買えるものなら買いたい。手が出そうな値段だったら、買う、絶対買う。
「50gで450元よ」
と、おかみさん。
一同、高速でオノレの財布と相談。なんとか手が出る価格だ。買うしかない。かも!?
で、三人で購入したお茶がこちら。
予算大幅オーバーだったけど、いい買い物をしたと満足。
また一年かけて大事に飲もう。
帰りは、おかみさんに山の下からタクシーを呼んでもらって、MRT動物園駅前まで下山。
猫空の駅前に待ってるタクシーを使うと、すぐ帰れるけれど、たぶん下山片道400元くらいかかるらしい。下から呼ぶと車で時間がかかるけど、山に登ってくる費用50元がプラスされる以外はメーター計算とおかみさんが言っていたので、下から呼んでもらったのだが、正解だった。待ち時間は20分ほどかかったが、全部で250元くらいで下山できたからだ。
タクシーの運転手さんも面白い人で、あっという間に駅について、猫空の旅は終了となった。
また機会があったら、食事だけでも行きたいと思う。2月の桜や3月のルピナスのときなんかいいかも。今から楽しみだ。
美加茶園
住所:台北市文山區指南路三段38巷19號
電話:02- 2939- 9138
営業時間:お昼前から夜22:00ごろまで
(※以前のお話だと、昼前早く来るようなら電話で確認した方がいいそう)
アクセス:ロープウェイ猫空駅を出てきて、右に曲がって、道なりに山を下って、
7~8分ほど。
ロープウェイ側の、山を下る道の右側に看板が見えてくるので、
その入り口から更に小道を下るとガーデンテラスのお店に到着。
がぁこ訪問:今回の写真は2016年7月
地図:https://goo.gl/maps/426xr4EwHv42
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